本文へ移動

畑からの知恵と実践

記事

1.5mの濡れた草を高刈りし、冬草ミックスを播きました|モア2回の実験

高刈り、全面散布、もう一度モア。発芽するかを確かめる実験を始めました。

公開日:2026/9/6読了目安:約5

伸びた草の中へ冬草ミックスをどう播くか迷ったとき、今回は先に高刈りし、畑全体へ種を播き、もう一度モアをかけました。

当初は立った草の上から播いて一度のモアで終える予定でしたが、草に水滴が残っていたため、立った草の中で散布を続けられませんでした。

そこで先に高刈りして移動しやすくする判断につながりました。今回の工程と、発芽までに確かめる点を分けて確認できます。

今日確認できたのは、畑全体へ種を播き、刈草を地表へ倒したところまでです。冬草が発芽するかは、まだ分かりません。

農園内で「桑畑」と呼ぶ、森ぎわの畑

2026年9月6日、青森県東北町の畑で冬草ミックスを播きました。

今回の場所は、農園内で「桑畑」と呼んでいる区画です。「桑」は、葉が蚕の餌として知られる木です。

ただし、今回は桑の栽培記録ではなく、農園内で区画を呼び分けるための名称として出てきます。

初めて読むお客様にも場所の様子が伝わるよう、この記事では写真の特徴から「森ぎわの畑」と表記します。

作業前は、夏の間に伸びた草が1.5メートルほどの高さになり、地面がほとんど見えない状態でした。

作業前と作業後

作業前の草丈、作業後の全景、残った太い茎を同じ日の記録として掲載します。

1 / 3作業前。草は1.5メートルほどまで伸び、雨の水滴が残っていました。

草の水滴で、最初の計画は続けられませんでした

最近は雨の日が続き、草の葉や茎へ水滴が残っていました。

見た目以上に濡れており、草の中へ入ると農作業着がすぐにびしょ濡れになりました。

最初は、1.5メートルほど伸びた草の上から肥料散布機で冬草ミックスを播き、その後に一度だけモアで粉砕する予定でした。

しかし、濡れた草の中で散布を続けるのは現実的ではありません。その場で作業を止め、工程を組み直しました。

実際に行った3つの工程

1つ目は、最初にモアで高刈りし、畑の中を移動して種を播ける状態にすることです。

2つ目は、冬草ミックスを肥料散布機へ入れ、畑全体へ散布することです。機械名は肥料散布機ですが、今回入れたのは冬草ミックスの種で、肥料は入れていません。

3つ目は、散布後にトラクターをかなり遅く走らせ、もう一度モアをかけて草を細かくすることです。

この「モア2回」の方法は、福知農園の松澤さんが実践している、播種後にモアで草を粉砕するやり方を参考にしました。

ただし、草の量、水分、土の状態、機械の刃は畑ごとに違います。同じ結果になると決めつけず、アリカの畑で発芽するかを確かめます。

何十年も使ってきたモアでは、太い茎が残りました

今回使ったモアは、先代の父が中古で購入し、その後何十年も使ってきたものです。

刃の摩耗が大きく、現在は草を細かく砕く力がかなり落ちています。そのため、トラクターの速度をかなり落として進みました。

草の多くは地表へ倒れ、そこそこ細かくできました。

一方で、こちらで「赤雑」と呼んでいるような大きく育った草の太い茎は、切りきれずに残った場所もあります。

完全に粉砕できたとは書かず、この残った茎も今回の条件として観察します。

ロータリーで耕さず、発芽を待ちます

今年、別の圃場で夏草ミックスを地表へばらまいただけのときは、まったく発芽しませんでした。

種と土が十分に接しなかったこと、水分や覆土の条件をそろえられなかったことを、原因候補として考えています。

今回は同じ表面散布でも、先に高刈りして種を播き、その後にもう一度モアをかけました。

刈草を倒しながら種を地表近くへ落とし、刈草で表面を覆うことを狙いました。今回はロータリーでは耕していません。

ただし、写真だけでは、種と土がどこまで接したかは確認できません。

発芽したか、均一に広がるか、刈草の厚さが適切だったかは、これから確かめます。

冬草を播く理由と、研究の扱い

アリカでは、作物がない時期にもカバークロップの生きた根をできるだけ残し、裸地の期間を短くしたいと考えています。

植物が根から放出する物質は、根圏の微生物群集を形づくる一因です。

菌根菌との共生では、植物から供給される炭素が、菌根菌による窒素の取り込みや輸送に関係する実験結果があります。

ただし、これはアリカの畑で同じ働きを測定した証拠ではありません。

混播しても、短期・条件次第では単一草種と比べて土壌微生物相に明確な違いが出ない場合も報告されています。

そのため、今回の冬草が発芽することや、冬草を播けば必ず土が良くなるとは書きません。

発芽すれば高効率。だからこそ次を観察します

この方法で冬草ミックスが問題なく発芽し、畑全体をある程度均一に覆えるなら、手持ちの肥料散布機とモアだけで進められます。

ロータリー耕を増やさず、作業工程も少なくできるため、アリカにとって非常に効率のよい方法になる可能性があります。

ただし、今日は効率のよい方法が完成した日ではなく、成立するかを確かめる実験を始めた日です。

次は同じ位置から写真を撮り、発芽の有無、発芽のムラ、刈草で覆われた場所と土が見える場所の違い、太い茎が残った場所の状態を見ます。

発芽しなかった場合も隠さず、播種方法、水分、種と土の接触、モアの刃の状態を分けて考えます。

農作業着がびしょ濡れになって工程を変えたことも、太い茎を切りきれなかったことも、そのまま今回の一次記録です。

発芽結果を待ちながら、期待と不安の両方を持って観察します。

この一回を、アリカのテロワールへつなげます

アリカの計画は、夏草と冬草をつなぎ、植物、昆虫、微生物の生物多様性を増やし、天敵も暮らせる畑へ近づけることです。

さらに、自家採種と連作を重ね、その土地に合う種と作り方を選んでいきます。

一度冬草を播いただけで、その計画が実現したとは言えません。

現在確認できたことと、これから確かめることを分け、同じ畑の変化を積み重ねて記録します。その長い積み重ねが、アリカのテロワールになります。

冬草や草管理の続きは、草を生かす畑づくりだよりへまとめていきます。

FROM THE FIELD

畑の今を、食卓へ。

その時に収穫できた野菜だけをご案内しています。