結論:アリカが収穫後に浅く耕したのは、毎作の全面耕起へ戻るためではありません。
掘り取りで既に土が動き、凹凸と草で全面播種が成立しにくい場所を一度整え、冬草ミックスの種を土へ接触させ、生きた根のある期間へ早く戻すためです。
不耕起を『ロータリーを一度でも使ったら失格』という看板にすると、播種が失敗して裸地や根のない時間が長くなる場合があります。
アリカでは、耕起回数と深さを減らす原則と、次の根を定着させる目的を同じ記録で評価します。
2026年8月、収穫後の畑を最初に整えた状態
アリカが2026年8月に撮影した一次記録です。収穫後の凹凸と草を整え、冬草ミックスを散播する前の状態です。
2026年の現在地――完全不耕起ではない
2026年のアリカは、自然栽培へ移行した1年目です。
じゃがいもは土中のいもを機械で掘り上げるため、収穫そのものが土を動かしました。
収穫後には地表の凹凸が残り、時間がたつと背丈や種類の違う草が全面へ広がりました。
この一次事実を隠して『完全不耕起』とは書きません。
じゃがいも、長いも、ごぼうのように収穫時に土を動かす作物は例外として明記し、その後の作業でどこまで追加攪乱を減らせるかを追います。
なぜ、そのまま播かなかったのか
アリカは夏草ミックスを地表へばらまきましたが、狙った発芽は得られませんでした。
種を置くだけでは、種と土の接触、水分、深さを確保できなかった可能性があります。
次にクリーンシーダーで不耕起播種を短く試すと、列播きはできても、この面積を細かく往復して全面へ播くには時間がかかりすぎると分かりました。
全面播種用の専用不耕起播種機は、現在のアリカにはありません。
原則へ固執して播種適期を逃すより、手持ちの機械で成立する最小工程を選びました。
実際に行った三工程
一度目のロータリー:収穫で生じた大きな凹凸と繁茂した草を整える
肥料散布機:イネ科、マメ科、花を含む冬草ミックスを畑全面へ散播する
二度目のごく浅いロータリー:種を深く埋めず、地表へ置いたままにもせず、土との接触を作る
ここでいう『リセット』は、土を深く反転して過去の根や残渣を消す意味ではありません。
収穫後の作業障害を小さくし、次の植物が定着できる表層条件へ切り替える作業です。
ロータリーが土壌構造や菌糸へ攪乱を与える可能性は消えません。
その不利益を認めたうえで、深さ、回数、通過面積を必要以上に増やさないことが条件です。
不耕起との整合は、結果で確かめる
『浅かったから問題ない』とは断定しません。
浅耕が本当に次の根の定着へ役立ったかは、発芽率、発芽むら、被覆率、土壌水分、降雨、植物ごとの残存、次作の作業性を記録して初めて評価できます。
反対に、ロータリーを使わなかった区画があれば、裸地期間、草の競合、播種に要した時間も比較します。
不耕起という名前を守ったかではなく、攪乱をどれだけ減らし、生きた根をどれだけ早く戻せたかを見ます。
根と微生物の一般研究を、畑の実測へすり替えない
植物は光合成で得た炭素の一部を根から根圏へ渡し、微生物群集へ影響します。
菌根菌との共生では、植物と菌の炭素・窒素交換が研究されています。
こうした仕組みが、生きた根を途切れさせたくない設計の背景です。
ただし、アリカの浅耕区で根圏炭素、微生物量、菌根菌、団粒構造を測った結果ではありません。
研究は方向を決める材料、畑の写真は作業の一次事実、土が良くなったという結論は測定後、と分けます。
次のじゃがいもまでを一つの因果で追う
冬草ミックスが成立すれば、裸地を短くし、花や草丈の違いが昆虫と天敵の居場所を増やす可能性があります。
しかし、生物多様性や害虫抑制はまだ測っていません。
発芽した種類、開花、観察した昆虫、食害を同じ地点で記録します。
この畑では来年もじゃがいもを作る連作の計画があります。
自家採種は将来の長期課題で、健全な種いもや病害の確認を飛ばして実施済みとは書きません。
浅耕、冬草、次作の生育と収量を世代ごとにつなぎ、土地・根・微生物・草・虫・人の作業が積み重なった結果だけをアリカのテロワールとして更新します。
次回から残す記録
作業日、圃場、前作、収穫で土が動いた範囲
ロータリーの通過回数、実測した作業深さ、走行条件
播種した草種、重量、面積、種子サイズの違い
播種時の土壌水分、直後の降雨、7日・14日・30日の発芽むら
裸地率、被覆率、優占草種、次作前の残渣と根
不耕起区または別手順があれば、作業時間と定着の比較
確認できたこと/まだ確認できないこと
確認できたのは、収穫後の凹凸と草で全面播種が難しかったこと、クリーンシーダーでの全面列播きが現状では時間を要したこと、ロータリー・肥料散布機・ごく浅いロータリーの三工程を実施したことです。
まだ確認できないのは、冬草ミックスがどれだけ定着するか、浅耕の利益が攪乱の不利益を上回るか、土壌炭素や微生物が増えたか、翌年のじゃがいもの収量や食害が変わるかです。
これらは今後の観察項目で、既成事実にはしません。
一次記録へ戻る
2026年8月の冬草ミックス播種記録:作業前、ロータリー後、種、散播直後の写真を見る
じゃがいも収穫で土を動かす:収穫攪乱を隠さず、不耕起の例外を考える
不耕起栽培ガイド:原則と現在地を確認する




