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畑からの知恵と実践

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不耕起に固執せず、冬草が根づく条件を整える。収穫後のじゃがいも畑へ冬草ミックスを播種|2026年8月の畑だより

じゃがいも収穫後、草と凹凸が残った畑を一度整え、肥料散布機で冬草ミックスを全面散播。仕上げにごく浅くロータリーをかけました。不耕起を目指しながら、生きた根を畑へつなぐために選んだ方法を記録します。

公開日:2026/8/27読了目安:約6

じゃがいもの収穫を終えた畑へ、冬草ミックスを全面播種しました。

本当は、畑を耕さずに次の植物へつなげたいと考えていました。しかし収穫後の畑は、気づけば一面が草で覆われ、地表には収穫作業の凹凸も残った状態。クリーンシーダーで不耕起播種も試しましたが、この面積を一列ずつ全面播種するには時間がかかりすぎることが分かりました。

そこで今回は、今ある道具で冬草の種を畑全体へ届けることを優先しました。一度ロータリーで草と凹凸を整え、家にあった肥料散布機で種を全面散播し、最後にもう一度だけ、ごく浅くロータリーをかけています。

不耕起を諦めたわけではありません。「耕さないこと」そのものを目的にせず、生きた根が畑にある状態を実際につくるため、圃場を切り替える時だけ最小限の耕起を使う。今回は、その方法を試した畑だよりです。

収穫後、気づけば草が一面に広がっていました

じゃがいもを掘り終えたあとの畑は、しばらくすると背丈や種類の違う草で覆われました。草が生えること自体は、土を裸にしないという意味では悪いことばかりではありません。ただ今回は、収穫時にできた地表の凹凸も大きく、そのままでは小さな種を畑全体へ均一に届けにくい状態でした。

夏草ミックスを地表へ散播した際、アリカの畑では狙いどおりに発芽がそろわなかった経験もあります。種をまくだけでなく、種と土が接触し、乾きすぎない深さに収まるところまで設計しなければ、次の根へつながりません。

クリーンシーダーで全面播種するのは、現状では難しかった

最初に考えたのは、クリーンシーダーを使った不耕起播種です。実際に短く試してみると、列播きそのものはできても、この畑の全面を細かく往復して播くには相当な時間が必要でした。

全面を効率よく播ける専用の不耕起播種機は、今のアリカにはありません。原則に機械を無理やり合わせ、播種の適期を逃したり、畑の一部しか播けなかったりしては本末転倒です。そこで、手元にあるロータリーと肥料散布機を組み合わせる方法へ切り替えました。

今回行ったのは「整える・全面にまく・浅く覆う」の3工程

  • 一度目のロータリーで、収穫後の凹凸と繁茂した草を整える。

  • 肥料散布機へ冬草ミックスを入れ、畑全面へまんべんなく散播する。

  • 二度目のロータリーをごく浅くかけ、種と土を接触させて軽く覆う。

重要なのは、最後のロータリーを深く入れないことです。今回のミックスには大きさの違う種が入っているため、深く埋めすぎれば、とくに小さな種が地上へ出にくくなる可能性があります。表面を軽く動かす程度にとどめ、地表へ置いただけの状態より乾燥や鳥による食害を受けにくい条件を狙いました。

米国農務省のカバークロップ導入資料でも、全面散播した種は表層を軽く動かして土との接触をつくる方法が示される一方、深く入れすぎる危険も指摘されています。今回の作業は、この畑の状態と手元の機械に合わせた実践です。参考:全面散播後の浅い覆土と播種深度について(USDA NRCS)

収穫後の畑から、冬草ミックスの全面播種まで

草と凹凸が残った収穫後の畑を整え、冬草ミックスを全面へ散播した作業の記録です。

1 / 5じゃがいも収穫後、気づけば草が一面に広がっていました。収穫作業で地表にも凹凸が残り、このまま全面へ均一に播くのは難しい状態でした。

イネ科・マメ科・花を組み合わせる理由

今回の冬草ミックスは、単に冬の畑を緑にするためだけのものではありません。

イタリアンライグラスなどのイネ科には、炭素量の多い根や地上部をつくる役割を期待しています。マメ科には、根粒菌との関係が成立すれば、空気中の窒素を畑の循環へ取り込む働きが期待できます。さらに花を咲かせる植物が時間差で開花すれば、送粉者や天敵を含む昆虫に、餌や居場所の選択肢を増やせる可能性があります。

異なる深さ・形の根が同時に伸びれば、根から根圏へ送られる液状炭素、いわゆる根の分泌物も一様ではなくなります。微生物や菌根菌を含む土の生き物に、より多様な環境をつくれるのではないか。炭素と窒素の両方を増やす植物を組み合わせ、畑全体の生物多様性を育てたいというのが今回の狙いです。

植物の多様性を高めた圃場試験では、オオムギの根圏における微生物同士の正の関連や炭素利用効率が高まった例が報告されています。一方で、別の短期・複数地点試験では、カバークロップの混播が単播と明確に異なる微生物群集をつくらなかったという報告もあります。つまり、混ぜれば必ず土が良くなるわけではなく、土地、気候、年数、成立した植物の組み合わせによって結果は変わります。参考:植物多様性と根圏微生物・炭素利用効率の圃場研究(Nature Communications)混播と単播の土壌微生物群集を比較した研究(Applied Soil Ecology)

アリカの畑でも、微生物量や菌根菌、炭素量、窒素量を今回測定したわけではありません。冬草ミックスが実際にどこまで発芽し、どの種類が残り、土にどんな変化が出るのかを、これから畑で確かめます。

不耕起は原則。でも、手段を目的にはしない

ロータリーをかければ、土の構造や菌糸のつながりを少なからず動かします。そのためアリカでは、耕さずに播ける場面では不耕起を選びたいと考えています。

ただ、今回のように収穫後の凹凸が大きく、草量も多く、全面播種できる不耕起播種機もない状況では、一度畑を整えることに意味があります。耕起をゼロにするか、毎回全面を深く耕すかの二択ではありません。

圃場をリセットするタイミングだけ浅く整え、その場で夏草・冬草のカバークロップを全面散播し、もう一度だけ浅く覆う。この方法なら、今ある機械で広い面積へ種を届けながら、耕起の回数と深さを抑えられるかもしれません。

今回の発芽は、まだ確認前です。軽い覆土によって種と土の接触条件は整えましたが、「確実に発芽する」とは決めつけず、発芽の時期、むら、植物ごとの残り方を次回確認します。

来年のじゃがいもへ、生物多様性と土の力をつなぐ

この畑には、来年もじゃがいもを植える予定です。

今年はニジュウヤホシテントウの食害もありました。冬草ミックスを入れたからといって、来年の食害がなくなるわけではありません。それでも、単一の作物と単一の環境に偏らず、草、花、微生物、昆虫、天敵が重なる場所をつくることで、特定の虫だけが優占しにくい畑へ近づけるかを見ていきます。

同じ場所でじゃがいもをつくる連作も、ただ繰り返すのではなく、作と作の間に生きた根を入れ、観察結果を次の管理へ反映していきます。収量が増えるか、食害が減るか、土の団粒や水のしみ込み方が変わるかは、来年の作で確認する項目です。

将来は、自家採種でこの土地に合う種もつなぎながら、青森の気候、土、微生物、草、虫、人の手入れを毎年積み重ねていく。その積み重ねが、アリカのテロワールになると考えています。

今回確認できたことと、次回から確かめること

今回、畑で実際に行い、確認できたのは次のことです。

  • じゃがいも収穫後の畑が、草と地表の凹凸で全面播種しにくい状態だった。

  • クリーンシーダーで不耕起播種を試したが、全面を播くには時間がかかりすぎた。

  • 一度目のロータリーで草と凹凸を整えた。

  • 肥料散布機で冬草ミックスを全面散播した。

  • 二度目のロータリーをごく浅くかけ、種と土を接触させた。

これから確かめるのは、発芽の時期とむら、冬越しする種類、地表の被覆率、草との競合、土の状態、そして来年のじゃがいもの生育・収量・ニジュウヤホシテントウの食害です。

不耕起は大切な方向性です。ただし、今ある条件で成立しない方法に固執するのではなく、畑を生きた根で覆うという目的へ近づくために、必要な時だけ浅く耕す。今回の冬草ミックスがどんな景色をつくるのか、発芽から続けて記録します。

じゃがいもの収穫から、次の一年へ

この畑で今年のじゃがいもを収穫した様子と、ニジュウヤホシテントウの食害については、草も一緒についてくる。1年目の自然栽培ジャガイモを機械で収穫で記録しています。

じゃがいも畑の変化は、じゃがいも畑だよりにまとめています。

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